バイク大国、ベトナム。そのベトナムの南部に位置するホーチミン。バイク大国だとは聞いていたけど、ここまでとは。
体感では、走っている車両のうち自転車は1%くらい。
目に飛び込んでくるのは、ひたすらバイク、バイク、そしてバイク。
今回は【滞在記】として、ホーチミンのバイクの海で見えた“自転車のリアル”をご紹介してみます。
Đi thôi!(行ってみよー)
バイク天国、ホーチミン
ホーチミンの街を埋め尽くすのはバイクで、自転車は「見かけるのが珍しい」レベルだ。特にピストやロードは11日間で実際に見かけたのは本当に僅か。これが今のホーチミンの“自転車事情”だ。
街にあふれるバイクの波
朝も昼も夜も、とにかくバイク。
信号待ちではバイクの群れが前後左右から押し寄せ、青になった瞬間、川の流れみたいに動き出す。
さながら、「クラクション=会話」って感じ。右から左から音の洪水。
ルールも独自スタイル。信号は“参考” — 空気を読んで渡る文化
日本とはだいぶん感覚が違う交通ルールだ。あとで補足するけど、車線はあってないようなもの。歩行者信号が青でも、バイクがスルスル横切る。最初は怖いけど、3日目には自分もタイミングを読めるようになってきた。笑
そういえば、日本の自転車ルールも海外から見ればけっこう独特ですね。
グレーゾーンを攻める、傘差し運転についての過去記事▼

ホーチミンに来て分かったこと。チャリは圧倒的に少ない
ホーチミンに来てから数日、街を歩き回って気づいたのは「チャリがほとんどいない」こと。
感覚的には、全車両のうち自転車は1%もないんじゃないかと思うレベル。道ゆくのはほぼバイク、バイク、そしてバイク。んで、車。そして稀にチャリ。
最初は「あれ?たまたま見かけないだけか」と思ったけど、11日滞在時点でもやっぱり同じ感覚。わお。
ベトナムで見かける自転車の種類
そんなマイノリティなチャリだけど、一応走ってないこともない。
ベトナムは舗装が荒めの道も多いからか、見かける自転車は太めのタイヤが多め。クロスバイクやママチャリ系が主流で、マウンテンバイクっぽいのもちらほら。

タイヤは太めの自転車を多く見かける。前後ディスクブレーキの車体が割合多め。
そんな自転車たちの中、ロードバイクやピストはさらに少数派で、スポーツ趣向の若者くらいしか乗っていない印象だ。
1日中街を歩いても、ロードやピストは併せて10台見れば今日はめっちゃくちゃ見かけたなーってなるレベル。もうほんと、激烈少数派だよ。
ちなみに、行商の人や年配の方はママチャリ率高めかな。前後フェンダーつけて、水はね対策しっかりしてるって印象。

前後フェンダーはスコールが多い国なら必須装備か
あといわゆるカーゴバイクのジャンルになるのかな、三輪車も結構よく見かける。

行商の人が荷物を入れて運ぶ。三輪車

観光向けだろう。フロントに人が座れる三輪車
ホーチミンの交通事情
ホーチミンは市内は坂も少なく平坦な道が多い。もうちょい自転車ユーザーいてもいいと思うんだけどなんで超少数派なのか。現地の人に聞いてみた。曰く。

なんでみんなチャリ乗らんの?

だってバイクめっちゃ多いだろ?普通に考えて危ないから乗らんわ。
まその通りだな。
なんでバイクがめっちゃ多いのかっていうのは、以下の記事がわかりやすいのでぜひ読んでみて。
*外部サイト:【バイク大国】ベトナムはなぜバイクが多い?ベトナムでバイクが普及している理由と歴史を解説します
自転車と、ベトナム生活スタイルの相性
道路幅は広いけど、交通量が多すぎる。自転車専用レーン?無いよ。
確かに移動はバイクが便利だろうし、運転はなかなかワイルドだけど、冷房の効いたバスは圧倒的に快適だ。しかも安い。
市バスが衝撃的に安い

ベトナムは、市バスがものすごく安い。
↑これはホーチミンの市バスのレシート。路線ごとに乗車料金が決まっていて、一つの路線ならどこまで乗っても料金据え置き。空港から10キロ先まで移動しても【5000vnd (ベトナムドン)】。なんと日本円で¥28!(*2025年8月時点)
年間平均気温30℃近くに達し、湿度も80%近く。晴れの日でも急に短時間のスコールが降るホーチミン。自転車で長距離移動はキツいよな。これならバス使ったり、バイクに乗っちゃうよなぁ。
ベトナムの交通ルール
ベトナムの交通ルールは、基本的に信号が存在しているのは日本と同じだけど、日本とはちょっと違う独特な空気感。「黄色信号」の概念がない。もう、赤か青かっていう二択だよ。
そんで、信号はあるけど、必ずしも全員が守るわけじゃない。
だから、歩行者の立場では、横断歩道は「渡るぞ!」と意思表示して、周りのバイクや車とアイコンタクトしながら進むスタイル。
「手を挙げて横断歩道を渡りましょう!」って、小学生の時習ったよね?まじであれ、重要。
実際に僕が横断歩道を渡る様子を動画で載せとくし見てほしい。
・・一応言っとくけど、僕はちゃんと青信号で渡ってるからね。まじで。
強制的に空間把握能力が備わりそうだ。
で、こんな感じの交通状況だけど、ちゃんとルールはあるのよね。基本を超簡単にまとめとくと、
- 右側通行:日本とは逆に、道路の右側を車両は走行。車は左ハンドルが基本。
- 主な交通違反事項:飲酒運転、速度超過、信号無視、バイクでのヘルメット未着用などは厳しく罰せられる。
- また運転中は、スマートフォンやオーディオ機器の使用は禁止。
で・す・が。
割と信号無視は普通に多いし、日本のような歩行者優先という概念はかなーり薄い。てゆうか、たぶん無い。
バイクが青信号になる前から突っ込んでくることなんて全然普通。超ファジーだ。横断歩道を渡る際は自己責任で渡るって意識を持つ方がいい。
ベトナム、ホーチミン。公道の車両ヒエラルキー(体感)
行動でのパワーバランスを簡単に表すと、ざっくり以下の感じ。
バス >> 普通車 >> バイク >> 自転車 ≧ 歩行者
それぞれの位置付けを簡単に説明すると、
-
バス:公道の覇者。近づけば車もバイクも必ず道を譲る。
-
普通車:ベトナムでは車自体、超高級品。バスに次ぐヒエラルキー上位の存在だ。
-
バイク:圧倒的な母数を誇る。交通の流れは基本的に彼らが作っていると思っていい。
-
自転車:母数が少なく、行商の人や高齢者の近距離移動が中心。若い世代ではスポーツバイク率高め。
「歩行者はどうした?」ですって?
歩行者はね、信号がない横断歩道もたくさんあるから、さっきの動画みたいに空気読みながら公道を渡るのです。
まとめ:バイク大国ベトナム。交通ルールはアバウトだけど、人は温かい
ここまでの紹介内容で、なんか漠然と危ないイメージも持たれるかもだけど。ある意味では、日本でよく見かける危険行為の「ながらスマホ」が絶対できない環境でもあるね。
自転車は圧倒的マイノリティーだからこそ、危険運転は物理的にも不可能だ。歩行者も、交通面においては自己責任意識を強く持つ必要があるから、自然と注意意識を張り巡らせる必要がある。
関連記事:スマホしながらチャリ、なぜ危険?──“ながら運転”が奪うもの
ま、極端かも知らんけど笑。
実際に交通の危険度は日本より高いと感じるだろうから、注意するに越したことはない。
ところで交通事情はなかなかにアレだけど、ベトナムの人たちは基本的にフランクで親切な方が多い。相手としっかり対話しようとする人との出会いが多かったし、道端で気軽に挨拶を交わす人々を頻繁に見かける。
そういう国民性だからなのかもしれないが、信号がゆるくても、不思議とパトカーや救急車の出動を見かけるのは物凄く少なかったし、滞在期間中に事故場面に遭遇しなかったのは「お互いを見て動く文化」みたいなものが確かにあるからと感じる。
頻繁に鳴らされるクラクションは、威嚇ではなく「そこにいるよ」の合図なんだ。
関連記事:“見える”じゃ足りない。“見られる”ことが命を守る──ライトの本当の役割
一見カオスに見えても、人々自体は親切で、困っていると助けてくれる方が非常に多かった。
そんなホーチミンの人々の温かさと、おおらかであるが故に(?)日本のようなギスギスした、悪質な煽り運転などがない交通事情が、案外好きになった。
まあ何度も言うけど、注意するに越したことはないけどねw
miki